インターネット上や口コミで、「ランニングを始めたら薄毛が治った」「髪が増えた」といった体験談を見かけることがあります。これらの体験談は、薄毛に悩む人にとっては希望の光のように感じられるかもしれませんが、その真相については慎重に考える必要があります。まず、これらの体験談の多くは、個人の主観的な感想であり、医学的な検証を経たものではありません。効果の感じ方には個人差が大きく、ランニングという行為そのものが直接的に発毛を促したと断定することは難しいです。「薄毛が治った」と感じた背景には、ランニングを始めたことによる複合的な要因が影響している可能性が高いと考えられます。例えば、ランニングをきっかけに、以下のような変化が起こったのかもしれません。* 生活習慣全体の改善：ランニングを始めることで、健康意識が高まり、食事内容を見直したり、睡眠時間を確保したり、禁煙したりするなど、髪の健康に良い生活習慣が身についた。* ストレスの軽減：定期的な運動によってストレスが効果的に発散され、精神的な安定が得られた。* 血行の改善：有酸素運動によって全身の血行が促進され、頭皮への栄養供給が改善された。* 自己肯定感の向上：ランニングという目標を達成することで自信がつき、薄毛に対する過度な意識が薄れた。これらの要因が複合的に作用し、抜け毛が減ったり、髪質が改善したり、あるいは本人の気持ちが前向きになったことで、「薄毛が治った」と感じられたのかもしれません。しかし、注意すべき点もあります。まず、「ランニングだけでAGA（男性型脱毛症）のような進行性の薄毛が完治するわけではない」ということです。AGAは遺伝的要因やホルモンバランスの乱れが主な原因であるため、ランニングだけでは根本的な解決には至りません。また、「過度なランニングは逆効果になる可能性もある」という点です。激しすぎる運動は、体に大きなストレスを与えたり、活性酸素を過剰に発生させたりして、かえって髪に悪影響を及ぼすこともあります。さらに、体験談の中には、ランニングと同時に他の薄毛対策（育毛剤の使用、専門クリニックでの治療など）を行っていたケースも含まれている可能性があります。そのため、「ランニングで薄毛が治った」という体験談は、あくまで個人の経験談の一つとして捉え、過度な期待はしない方が賢明です。