女性の薄毛は、男性とは原因や症状の現れ方が異なる場合が多く、治療法もそれに応じて選択されます。医療機関で女性の薄毛治療に用いられる薬には、主に外用薬と内服薬があり、それぞれ異なるアプローチで薄毛の改善を目指します。まず、代表的な外用薬として「ミノキシジル」が挙げられます。ミノキシジルは、もともと高血圧の治療薬として開発されましたが、副作用として多毛が見られたことから、発毛剤としての研究が進められました。頭皮に直接塗布することで、毛母細胞を活性化させ、血行を促進し、発毛を促す効果が期待できます。日本では、女性向けのミノキシジル外用薬として、1%濃度のものが市販薬として承認されていますが、医療機関では医師の判断により、より高濃度のものが処方されたり、他の成分と組み合わせた院内製剤が用いられたりすることもあります。次に、内服薬ですが、男性のAGA(男性型脱毛症)治療薬であるフィナステリドやデュタステリドは、原則として女性には用いられません。胎児への影響のリスクがあるためです。女性の薄毛治療に用いられる内服薬としては、まず「スピロノラクトン」があります。これは利尿薬の一種ですが、抗アンドロゲン作用(男性ホルモンの働きを抑える作用)も持っており、女性男性型脱毛症(FAGA)のように男性ホルモンの影響が考えられる場合に、医師の判断で処方されることがあります。また、「パントガール」に代表されるような、毛髪の成長に必要な栄養素(パントテン酸、ケラチン、L-シスチン、ビタミンB群など)を補給する目的のサプリメントに近い内服薬も用いられます。これらは、びまん性脱毛症のように、特定の原因というよりは栄養不足や全体的な活力低下が考えられる場合に有効とされています。その他、鉄欠乏性貧血が原因で薄毛が起きている場合は鉄剤が、甲状腺機能の異常が原因であればその治療薬が処方されるなど、原因に応じた薬剤が選択されます。どの薬が適しているかは、薄毛の原因や症状、そして個人の体質によって異なります。自己判断で薬を使用するのではなく、必ず皮膚科や女性の薄毛治療を専門とするクリニックを受診し、医師による正確な診断と適切な処方を受けることが重要です。
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女性の薄毛治療に使われる薬とは?種類と効果
2022年9月29日